Revo's Halloween Party 2024 二夜
はじめに
狩人の背中を追いかけて
駆けのぼった坂の上に
見知った公園
砂場のシャベル
溢れたペットボトル
喫茶店に揺れるcloseの文字
根が押し上げたアスファルトに
鈴がチリンと揺れて
私ははじめてペダルから脚を降ろした
狩人の足下
葉を落とした木立の隙間に
白い吐息がのぼり
おおいぬ座の 青星が光る
人間はその
十分の一の光で
十分に燃え尽きる 千度
そうして
灰になり また
胚になる 千度
あの夜に
纏った仮装が
惑った仮想が
棺桶の中
成仏に近い満足感を抱いた
ドライアイスの眠りの下層で
もっと苛烈に生きてやろうと夢を見せた
あとは、燃えるだけだった
銀杏を滑り、霜を踏み、
桜を巻き上げる坂道に
新緑が影を落とす
小娘はとにかく目の前にある労働に
己を焚べてみたけれど
煤が出るばかりだった
磨かれる以上に
身欠かれることが耐えられなくなり
やがてその光を消したのだ
燃え尽きる前にその千度を消光し
残業を貪った銭奴の小功が
この落ちた鮮度の小稿である
焼香
約束の夜
1日目で経験済みなので
黒いコートのお兄さんと
紫のドレスのお姉さんが登場すると
志田は知っているので
そう
何も恐れることは無い
メイちゃんと子ども達が
白い兎がゲンさんが
何を言っているのか
聞き取ろうと耳を傾ける余裕さえある
満を持したそのとき
スポットライトが差し込む
客席後方から現れたのは
メルさんとベトさんだった
は??????????????
は??????
し、、、志田はCDジャケット絵以上の
メルさんとベトさんをぅ
拝見したことが無いッ
動くメルさんとベトさんが
数十メートル先に
いらっしゃるというのに
血眼案件だというのに
全く、それどころでは無い
昨日まで遠回りしていたはずの
脳の神経回路が
最短でつながり
何かよく分からない汁が
脳の皺を撫でる
昨日見た
紫のスカートのお姉さんと
膝丈ほどの黒いコートを羽織ったお兄さん
志田はてっきり
ハロウィンの夜にメイちゃんのご両親が
お嬢様と執事 の仮装をしているのだと思って
彼女たちの仮装に
服装が想起する概念以外の意味を
見出せていなかった
そうではなかった
バニオンの息を止めたのは
気道に詰まっていたのは
それでは無かった
彼女たちにはその姿以上の物語があって
その物語こそが
右のバニオンの息を止めたのだ
そして志田がこれから出会うであろう
お姉さんとお兄さんだったのだ
な、、、、なるほど
メルさんとベトさんの仮装をした
ご両親、、、、、
メルさんと、、、、ベトさんは
結ばれ、、、な、、、か、、、
メイちゃんのご両親、、
志田の、、、、夢、、、
ああ、、、、、ぁぁ、、
志田は息をしていなかった
風の行方
志田が見た三途の向こう岸の景色
長い黒髪を流して
スカートがふわりと舞う
Ceuiさんのお声は
今は汚れを知らないように
潔白というよりは無垢で 恥ずかしがりで
柔らかく 素朴で
肌馴染みの良い
何かにすぐ染まりそうに脆く 淡い
それでいて
寂しさを感じさせない
日向に干された綿布のシーツような
ぬくもりを纏う
そこに
力強くまっすぐ伸びる
若草のストリングスと
地中に眠る低音がある
道端に小さな花を見つけたように
ぽうっと見つめてしまう
どうか踏まれないでおくれと
密かに願ったりする
そんなお声にほっこりした
キミが生まれてくる世界
水泡が昇る様なSEが流れた
お声を聞いて初めて
木漏れ日のような
黄緑のドレスのお姉さんが
Joelleさんだと気付いた
その新緑が何故か
脳裏に焼き付いている
お衣装は
曲に合わせて選んでいるのでしょうか
お姉さんのイメージに合わせて選んでいるのでしょうか
よく分からないが
彼女の新緑を見たとき
清水に揺れる梅花藻のようだと思った
オケコンでただ一度聴いたとき
音楽が水壁の向こうから
語りかけてくる様に感じた
水面に揺れてはっきりとした姿は掴めないけれど
こちらに何かを伝えようとしている
そして何より暖かくて力強い
今回はオーケストラと違って
ライブバージョンだからなのか
歌唱があるからか分からないが
水壁の向こう側のような印象は感じない
もっとぐっと側に居て
最も遠い
水の中に
お姉さんも私も居て
「いってらっしゃい」と
背中を押されるような
強かさもありつつ
水の中から出た先で
貴女にはもう会えないような
真珠の歌声は海に還りたがっている
そんな寂しさを感じる
歌詞が全く思い出せないが
「おかあさん」のお歌だと思った
でも確か「僕」と言った
え??????????!
え????????
いや、言っていないかも知れない
そこで一度
志田が積み上げた前提が全て覆って
もう何も、、、、何も憶えていられない、、、
少女曰く天使:初
やんちゃなピンクのお衣装
狐のような二つの尻尾が揺れて
可愛らしい
野原を駆ける姿が目に浮かぶ
そのレッグウォーマーも
アームウォーマーも
暖めてはくれないのか
なんとなく
寒そうに見えた
自動販売機の廃熱に身を寄せて
暖を取る子猫のように
暖かそうな毛皮に覆われているのに
寒そうだった
石川さんの背中に
彼女よりも小さな背中を見た気がした
ポロポロと溢すような歌詞とは裏腹に
繋いだ手を振りながら家路を辿る
童謡の幼さもあった
突然、烏の羽音が響く
音楽がパッチワークのようにつぎはぎで
節回しは異国の民謡のようで
知らないはずの懐かしさがあった
Lui si chiama・・・:初
日向の麦藁のようなブロンズの髪に
灰色の学生服
白いソックスを履いた小さな足が
行儀良くローファーに収まっている
子守歌のような音色からはじまる夜空
歌声に乗る感情は凪いでいて
激しい起伏はなく控えめで
低温で澄んでいる
初めて聞くタイプの歌声
実際どうなのかは分からないけれど
全ての言葉が鼻腔で反響する
腹から声を出すとか
地声とかの概念が無いように聞こえる
彼女が思う彼女の美しい部分だけを
聞いているような感覚
制服に身を包む彼女のことは
よく分からないけれど
本当はもっと
感情豊かな方なのではないかと
ふと、そんな気がするほど
バックグラウンドを思わせる
澄んだ上清とその秘匿
感情に蓋をしているわけでも
控えめな性格なわけでも
無いかも知れない
意図を介さない
もっと自然現象に近い
お声は彼女の澱みの上清みたいな
不思議な雰囲気を纏っている
風吹荒れる荒地
越えた湿原の高地
そこに花開く巧緻
誰も知らない湿原
その池塘の上清
でも澱が不純物というわけでも無い
哀しみと寂しさに枯れて
彼女の低温の中で
泥炭のように
千年の時を経ても腐らずに沈んで
堆積している
その他の世と隔絶された貧栄養の泥炭地に
固有の高山植物が自生しているかのような
強さもある
彼女の強さがこの地に花開かせるのか
この地が彼女を鍛えるのか
強さがあるわりに
健気で行儀が良い
或いは、この地でしか強く在れないのか
踏み入れたら失われてしまう
かと言って
教えてくれるわけでもない
誰も知らない秘密の場所のように
尊く脆いようにも感じる
と言うのは
志田の妄想の成れの果てでしかない
舞台上に屈折式望遠鏡
誰の窓を覗いているのだろう
、、、、確かに彼女には
自分が知っている美しいモノ全て
教えたくなってしまう
機械でできている
女の子、、、、、、
そんな彼女の両手が
誰かの喉を絞めあげて
「素手で殺せるんです」と
少し誇らしげに持ち上げる、、、、
待て
殺せるだと?!
素手で?!
そして持ち上げるだと?!?!
その華奢な肩はどう見ても
花束より重いモノなんて
持ったことが無いはずだろうが
池塘の上清だ 高山植物だ
と勝手に喚いていたら
マッスルだったとは
殺せるなんて
上清でそんなことを言うのか?!
この子はッッッ?!
いや待て
ジョゼさんの横に立つために
守るために強くありたい
でも普通の女の子として
横に立ちたい
という
ハスッッッッッッッッッ
なんだそのイカつい銃火器?!
なんだその構え?!
長ジャージを履きなさい
す、、、、素手じゃ、、、、なくても
強いだと、、、、
戦闘力を見誤ったスカウターがこめかみで爆発し
志田の浅側頭動脈が弾け飛んだ
ジョゼッッッ
もうその後はずっと
ジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさんジョゼさん、、、、
ジョゼの飽和水溶液
なんなんだ、、、、、彼女のなんなんだ
ジョゼッッッッッッッ
テメェ 誰だかしらねぇが
早く迎えに来い
ジョゼとやらが
同じだけ彼女の名を呼ぶ歌が
あることを願う
Ark:初
このお声は青髯のお姉さん
重い低温に
爪をひっかくような
荒々しいギターのロック
志田は彼女のお声で
ロックを聴いてみたかった!
が!
大きな襟のブラウスに
紫のショートパンツはあどけなく
そこから伸びる
白い足は羨ましいほど攻撃的な
曲線を描いている
志田は今何を見ているのか
よく分からないのに
曲線を視線が滑るうちに
出所の分からない罪の意識が芽生えて
目をそらす
そのちぐはぐで
あどけない姿から聴こえてくるのは
鮮烈な愛憎を纏った女の歌声
磨りガラスの向こうで
グロテクスな映像を
見せられているような歌詞
拘束される彼女の不敵な笑みが
仮面の男の襤褸の外套に覆われて
暗転する
志田の脳では処理しきれない
エルの楽園:初
鳥の鳴き声
ストリングスのピツィカート
真っ白な少女がスキップする裸足
少女の問いに
合唱団の子ども達の歌声は
人ならざる無垢さで答える
聴いたことがあるメロディ、、、
こ、、、これは
この旋律は楽園のテーマだったのか
いや、、、、これが源流なのか
西洋骨董屋根裏堂
こちらもオケコンで拝聴した一曲
第一印象は「甘い」だったので
志田はてっきり女声ボーカルの曲だと思っていたのに
まさかの かの男
どなたのフードを被っていたのか
あまり良く見えなかったが
頭が白くて
被っても被んなくてもあんまり
姿は変わらなかった気がする
そしてなにより
全く聴いたことがない歌い方
かの男の新たな引き出しを開けた
気取っている、、、、
格好つけている、、、、
違うな
濁点Revoから濁点を取ったような
それは
ただのRevoか、、、、、
いや
兎に角
滑らかで
まろやかで
ここから至極変なことを書くが
メロディーラインが甘いのだ
歌詞の語尾で
蝶がひらりと高音に飛ぶようなメロディーも
ふわりと抜くような高音の歌い方も
何もかもが
初めて聴いたときは
志田はお菓子の家みたいに甘くて
「おいしそう」だと思っていたのに
実際聴いてみると
「食われそう」というか
歌を聴いてみれば
その甘さは
カラメルではなく
かといって
瑞々しい果実でもなく
花の香りでも無く
この会場にかかる霧の
グリコールのような
煙草の煙のように
まとわりついて
湿って重く甘ったるい
カウンター前の
お姉さん達の甘美に
彼が酔っているのか
私が酔っているのか
よく分からないが
カウンター四姉妹のために
用意された誘惑の旋律を
彼も持っていて
どちらかというと
四姉妹よりも
甘さを放っているのは
この男なのに
お姉様達に転がされている
なんなんだ この男
見る限りは青年なのに
大人と子どもの狭間ではなく
大人と子どもが両立してて
子どもの彼は珍しい骨董に目を輝かせるのに
大人の彼はこちらには流した目しか寄越さないし
そんな男が指先でなぞるメロディーも
纏う香水もこんなに甘いのは
なんなんだ
オケコンで聴いた
同じ旋律を異なる楽器のソロで弾き分ける
「手を変え 品を変え 誘惑される」部分が
怒濤の韻踏みで
もはや何を言っているか分からなかったが
サングラス と言っていたのは確か
骨董のサングラスって何、、、、
全く、けしからん店
黄昏の楽園
歌詞に合わせてピコピコする
子ども達がかわいらしいのと
決して成人の声では生み出せない
純粋なるその歌声で
この歌詞を奏でるグロテスクさと
それをきっと
純粋なる者達は感受し得ないだろう
という新たなグロテスクさと
それを拝聴している
満悦と感動が入り交じって
呼吸を忘れた
死せる乙女その手には水月:初
重い鐘の音
水に沈むお姉さん
哀しみに憂うお姉さん
そこに駆けてくるは
臙脂色のケープに
ワンピースを着た白兎
半袖だとッッッ?!
こんなに涼しそうな彼を
志田は見たことが無いッッッッッッ!
半袖を着るなんてことが
起こりえるんだ
この人に
衣替えという概念は無いと思っていた
布が適量だ、、、、、
これなら一人で着替えられそうだ
いや
運動神経が良さそうにさえ見える!
この兎さんなら
手袋になることも無く
食物連鎖も生き残れそう
夏仕様、、、、、、まさかね
こんなパターンがあったとは、、、、、
もうこの辺りから
記憶が無い
走る、、、、
めっちゃ走る、、、、、
走ることもあるんだ、、、、、
布が無いだけで
こんなに軽やか、、、
花道と舞台の角を飛んだ、、、、、
そして
叫んだ
慟哭が上手いのは
本当に意味が分からない
なんなんだこの人
そして
悲しい旋律の二重唱
失意の中に溢れ出たような
こんなに悲しく元気の無い声も
私は聴いたことがない
でもこのお声を聴くと
彼の歌声の本質が
優しさであることがよくわかるのもまた
悲しみを誘う
二人の目線が合うことなく
お姉さんは居なくなってしまう
兎さんと
ペアルックを着ているお姉さんとは
どんなご関係なのでしょう
美しきもの
翻弄され続けた志田の
オアシス
YUKIさんが歌われる
この歌は葬列の馬車の荷台で
少女がハーモニカを奏でるような
側にある寂しさがあるけれど
彼女の歌声だと
針が進んで また針が進んで
美しい景色と出会うたびに
この旋律を口ずさんで
歌い続けている様なぬくもりにも感じる
ハーモニカもお上手で
何度聞いても癒やされる歌声
輪廻の砂時計:初
銃火器の君とスーツの男性
あんた誰よッッッ
おま、、、、、
ジョ、、、、、、ジョゼなのか?!
銀色の砂、、、、、
志田の安全装置が作動する
由々しい
銃火器の君、、、、、、
やはり彼女の
その水面を揺るがすことは無くて
ずっと澄んだままだった
星空と言うワードが出てくるけれど
特段星空をイメージさせる音楽では
無かった気がする
最期はジョゼらしき男が
お姉さんを星空から庇うように
覆い被さっていたのが
印象的だった
ジョゼなのか
ジョゼではないのか、、、、、
ゆりかご:初
眼鏡の女神のお姉さんが
おくるみを抱いて歩く
ボサノバ調の音楽
これまた新鮮で
打楽器が心地よい
Revo音楽でボサノバ調を
聴くことができるとは、、、、
ゆったりとしたメロディーは
それこそトイピアノの音色に
乗せても良いのに
子守歌×ゆりかご
ではなく
ボサノバ×ゆりかご、、、、
なのにこんなにも
違和感が無い、、
いや、、、、、ブラジルのRev、、、
ブラジルのママイは
ボサノバで子守をしているかもしれない
あまりにも
陽気で温暖なメロディーが
絵に描いたような日常を思わせる、、、、、
そして
お姉さんの晴れ渡るような
陽向の歌声が心地よい
なんで
子守歌では無いんだろうな
子守歌というより
ぽかぽかの日差しの中で
まどろんで夢現という感じ
寝ない子を寝かせたいわけじゃ無くて
寝てる子を起こさない
いい子だから、、、、
狂気ッッッッ
黄昏の賢者
ボンソワール
その一言で
全身の産毛が逆立って
足の裏から血液が沸き立つのが分かった
座席に座っていた誰もが
椅子から弾かれるように立ち上がって
志田の口から
蛙を轢いたみたいな声が漏れた
なにより
この会場を支配するこの男から
目が離せない
何もかもが
この男のために誂えられたかのように
全てが彼のもののように
黄金に光って仕方がない
寂れた公園が
ショーのステージに変化して
拳を突き上げていた前の
三つ揃えスーツ紳士も
手を広げていた左の淑女も
突然 両の手を握って
はしごを登るみたいに
交互に上下させるのだ
ナッッッッッッ待って
なんだそれは
皆、その手に賢者のステッキを
握っているのだ
志田の知らないステッキ
志田も素敵なステッキがほしい
志田も見よう見まねで
拳を突き上げる
私にも
その!
そのッッッステッキをくださいッ
待って、、、あああああああ
ステッキを、、、
ステッキをください
必死に振る
右手の妖怪ウォッチも
左手の志田ウォッチも
気にならない
私にもください
ください!!!!!!
気付いたら手の中に
素敵なステッキがあって
賢者達とやっと合流できた
できた!
できました!!!!!
見てください!!!!
志田のステッキです
素敵です
見て
志田のステッキ
賢者から知恵をリズムを賜って
体が自然に動き出す
気付いたら
志田だけ倍のリズムで
ステッキを振っていた
ッッッッノンジェントゥル
途中でリズムが変わるのは
聞いていない!!!!
もちろん
賢者達はそんなこともお見通しで
賢者たる堂々とした手つきで
ステッキを握り替える
一糸乱れぬその動き
やはりローランは
特殊な訓練を受けている
本当に、、、、、本当に
格好良かった
果たして
このステッキの使い方はジェントルなのか
紳士の嗜みなのか
よく分からないが
生者も亡者も入り交じる
黄昏に
賢者の言葉の一つ一つが
どうにも じんと沁みて
この男
胡散臭いんじゃ無くて
格好良いが過ぎるのではないか
志田の中の
ひび割れていたいろんなモノが
ばらされて 金で継がれて
興奮と感動と
「なんだこれ」が混ざって
その器に満ちて
どうしようもなく
胸が一杯になって
ちょっと鼻血がでた
暁の鎮魂歌
子ども達の歌声に
Revoさんの歌声が混ざる
クラシックの鎮魂歌は
宗教的な混声の響きの中に
土の様に重くて冷たくて
夜のようにべったりと黒く
眠りのようにゆったりと流れて
その中に光が差すような
シアターで見るエンドロールのような
走馬灯のBGMのような趣があるけれど
そうした
古典的な鎮魂歌の雰囲気もありつつ
原作から香る
無力感や無常感と
善悪を測る天秤さえも疑わしき世のなかで
悲しいことは悲しいこととして
歌ってくれる
壮絶に散っていった者達と
同等の熱量で鎮魂しに来る
エクソシストも
僧侶も
陰陽師も
凌駕する鎮魂力
ベスト 鎮魂ニスト Revoの
腕が光る
女神のお姉さんの
切実に天に手を伸ばすようなソプラノも
葬列を行進曲で送り出す様な
もう戻れない音楽も
生で見ることが出来て
本当に良かった
忘れな月夜:初
窓に浮かぶ月夜
真っ白なワンピースにベルトを締めて
髪を隠すように清貧なベールを被っている
知らないお姉さん
誰かがはっきりとと彼女のことを
「エリーザベト」と呼んで
確信に変わる
知ってるお姉さんッッッッ
宵闇?
幸せ?
な、、、、、、、何を歌っているのか、、、
結婚したのか
メル以外の奴と
離縁したのか
メル以外の奴と
母????????????????????
は????ははははは???
エリーザベトさんの、、、
、、幸せ、、、、
お姉さんは本当に
志田の知るエリーザベトなのか
何がどうなってこうなるのか
なんなんだ
なんなんだ、、、、
Revoは私をどうしたいんだ、、、、
な、、、、、、
私にこんな夢を見せないでくれ、、、、、
13の冬
絵からそのまま飛び出してきたような
赤いマフラーを捲いた
ミカサさんが居た
こうも旋律に感情を乗せるのが上手な方が
それをぐっとこらえている姿を見ると
込み上げて揺さぶられる
すっとしなやかで強かな
一輪の花が風に揺れているようだった
人生は入れ子人形:初
探検家のピスヘルメットに
スコップを担いだJimangさん
ステージに立つ彼だけで
私の視線を独り占めする
ずるい男
コーラスのお姉さん方を
全く見ることが出来ない
ずるい男
ハジケ飛ぶこの男
会場の支配力がえげつない
探検家の男が歴史的発見に至る生涯を
ロシア民謡に乗せたリズムで送る
時に悲しく 時に、、ほとんど愉快な
悲劇で喜劇な
大満足☆ショータイム
全ての問いに
全力ハラショーッッッ!で応える
トンチキレスポンスで
完全に置いていかれた
ここまでくると
置いていかれるのが気持ちよく
次はどうやって私を置いて行ってくれるか
ワクワクし始める
花柄のドレスを着た
眼鏡の女神お姉さんとの二重唱が
しっとりして なんだか微笑ましかった
Revoのやんちゃを
こうして全力で引受ける格好良さに
魅了されながら
ずっとうっすら「なんだこれ」がある
一瞬だけこの「なんだこれ」が消え去って
ゴッツリ格好いい部分があった
なんと言えばよいだろう
民衆の視線を自分に結ぶのが上手いというか
咥えた薔薇を握り込ませてくるというか
何とも言い難いが
生で見る彼からはほとばしる汁がある
なんてジューシーな男なのだろう
と言いつつも
音楽はクレソンのように
視界に入るお姉さんたちが
ローズマリーのように
肉汁で鼻うがいをした私の鼻腔に
爽やかさと香りを添える
キンキンに冷えた水をカッ煽りたくなるような
この世で一番うまい水を飲める
鉄串に刺さった肉がグリルの上をターンして
目の前で削いでくれるような
辛い洋酒でフランベするような
エンターテイメントと
ステーキの上に焼パインが乗ってるみたいな
南国の陽気な風と「なんだこれ」を秘めつつ
湿気たバケットの
最後の一切れみたいな味も出せる男
そしてRevoはこの男の美味い食べ方を
良く知っている
この男で飯が食える食える
余りにも格好いい男
unknown
私の稚拙な文章を
読んでくださるあなたは
志田の無知を 未知を
こうして得た
初めての「知る」を その道を
好奇に思ってくださるのでしょう
志田は「知らない」で出来ていて
だからこそ
私は私を放牧し
自由気ままに草を食んでいる
元来
グラサン分解酵素の少ない志田は
隕石の衝突から一年たっても尚
歯間に挟みながら
奥歯に詰め込みながら
食べこぼしながら
なんとか咀嚼し
食道と胃を幾度も往復して
上皮を作り替えながら
やっと呑み込んで
消化して腹を下している
志田は
誰かに熱狂したこともなく
誰かを追いかけたこともない
そんな私が演劇と出会ったとき
私自身が何者にも成れなかったからこそ
「作品と私は違うのだ」と
作品の内容や品質を重視し
個人の背景や評判に頼らず
作品そのものの価値が評価されるべきだという
作品至上主義に拍車がかかった
「好きな作品を作る作者」と
「好きな作者が作る作品」は
全く意味が異なる
「作者=作品」は
私中心に回るこの宇宙に地動を唱えるような
異端の発想だった
でも初めて出会った好きな音楽は
彼であり
彼こそ音楽だった
フーン、、、、面白ぇ奴
作者と作品を
常に切り離してきた志田が
作品に作者が
作者が作品に溶け込んでいるような
曖昧な世界で
己の主義をめぐって
己に蔓延る摂理と
己の中に芽生えた異端が
戦争しているにもかかわらず、、、、
よりによって
何故、、、、Revoなんだ、、、、、、、、
Revoがキュピキュピのアイドルだったら
、、、良かったのだ、、
ピンクジャケットの背中に
長い金髪を流して
ホットパンツを引き締めながら
ハイヒールで闊歩するような
桃色巨大鳩のような
キュピキュピのアイドルだったらよかったのだ
いや、、、、、ホットパンツ生足ハイヒールは
違う問題だな、、、、、
一番の問題は
そんなRevoを
ローラン方もSH公式も
ゆるふわ だと信じてやまない
Revoはネコチャンじゃない
黒豹である
ゆるふわなのは
その御髪だけである
兎に角
Revoのせいで
全てがややこしくなる
ややこしい人間が
よりによってRevoに興味を持ったばかりに
問題が難解になる一方なのだ
と、Revoは
「全てを彼のせいにする」のに
あまりにも都合が良すぎる男なのだ
作品は彼では無いと
彼は作品では無いと信仰しながら
何よりも単純で美しい
彼=音楽を発見してしまった故に
音楽が好きだから彼も好きという等式が
彼が好きだから音楽も好きという等式が
永劫、証明されなければ良いと
本気で思っている
私は何かしらのバイアスがかかった自分の感性を
信用出来なくなってしまっている
だから
彼個人の情報を得ることに関しては
「まだ、知らなくていい」と
消極的であったし
極端に言えば
検索窓に彼の名を入れたとき
出てくる予測候補の大半が
ナンセンスだと思っていた
知るべき時に少しずつ得て
遠浅の海を
進んでいけばいいと思っていたし
顔に水がかかる頃には
水中で呼吸が出来るようになっていると
思っていた
それが今はどうだ
目の前に断崖があると知って
立ち竦んで居るでは無いか
ナンセンスなんて誰が書いたんだ
余りにもナンセンスなセンテンス
未知と既知は
0か1であり
遠浅の海なんて無かった
綺麗だと思った海と
私の狭間に崖があると知った
作品を知るたびに
作品至上主義の私が
その主義を捨て 摂理を捻曲げる
投身を果たさねば
作品の至上に辿り着けないと
思い知らされる
一度飛び込んでしまえば舟を寄せて
この崖の上でもう一度海を眺めることは
きっともう出来ないのだろう
この絶海で踏みとどまれるなら
どんなに良いだろう
でもこの崖の上から見た海を
私は美しいと思った故に
この崖が離れがたい
きっとこの道が吉ではない
と分かっている
でも
この海も
そしてこの崖も
この崖から落ちることも
その海に沈むことも
全てが恐ろしい
こんなにも海が美しいのに
投身することが出来ない私は
地縛霊となり何万もの文字数で
崖の上に展望台を建設し
己の醜態と狂気を観光資源に
「美しい、怖い、知りたくない」と喚いているのだ
私を鎮魂して見せよ
know
カーテンコールが終わったあと
何か、、、何か大切な話があって
二匹の蝙蝠がマントをつまみ上げて
彼はふわりと客席に降りてきた
人垣の向こうに
蝙蝠が揺れている
かすむコンタクトレンズの視界
会場を漂う霧のグリコールが
涙を奪う
目薬を右手に天井を見上げた
客席前方
事件性のある悲鳴
失敗した滴下
尋常ならざる動揺が
洪水のように押し寄せる
何も満たさず
何も潤さず
無意味に伝う人工涙を
マスカラごと乱暴に拭った
二階席の私は
訳も分からず
周囲の動揺に動揺していた
本当に、よからぬ事が起こったと思った
国家転覆の危機だと
悪意に王が倒れたのだと思った
王の身を案じていた
誰かがつぶやく
「サングラスがない」と
志田、転覆
周囲の音が遠くなって
映像はゆっくり流れてに見えた
現象は理解できたが
意味が分からなかった
隣のふわふわのパーカーを着たお姉さんは
そのふわふわでいろんな汁を拭いながら
実家の洗濯機くらい揺れて
崩れ落ちた
誰よりもステッキ遣いがキレていた
前の三揃えのスーツを着たお兄さんは
双眼鏡を構えて微動だにしなかった
私が握りしめた目薬の容器は
ただ白く結露していた
もう一度天井を見上げて
目薬を迎える
その一滴に会場が逆さに写って見えた
何度かの生理的な瞬きを経て
手に入れた澄んだ視界を
黒点が右から左に動いていくのを
ただ唖然と見ていた
そうして
グルコースが枯渇した脳味噌は
珍しいモノだから見ないと損だと言った
襖の隙間を覗けと言った
開いた箱を覗けと言った
緒の解かれた玉手箱を覗けと言った
翁でも
パンドラでも
浦島でも無いお前でも
今ならそれが出来ると
そうすべきだと言うのだ
ストラップの輪を潜って
私は確かな手つきで
双眼鏡を構えていた
切り取られた円の中をかの男が
端から端へ歩いて行くのを
血眼で追いかけた
「知ってる、、、、知ってる」
もっと早くから
そう言っていたのかも知れないが
彼の言葉を聞き取れたときにはもう
そう、一人ひとりに声を掛けていた
知らない
そんなの知らない
知らない、、、知らない
何が起こっているのか
分からない
私はとても恐ろしいことをしている気がして
咄嗟に双眼鏡を離した
何所を見ればいいのか
途端に分からなくなった
私は何をした
私はこの手で、、今何をしていた
首に掛かる重みに息が止まった
私の展望台のスコープが
今まで宇宙を覗いていた望遠鏡が
この手の中の双眼鏡が
見えるはずのない深海を映したのではない
この手で、、自らの意志で、、、
もっと恐ろしいことをしたのだ
怖い
双眼鏡を鞄に押し込んだ
訳も分からず
逃げ出したいと思った
ここに居てはいけないと思った
震える洗濯機も
船橋の航海士も
見ていられなかった
そうして俯いた
スラックスのセンタープレスも
革のブーツの艶も
見ていられなかった
上の空の空も見えず
どうやって帰ったのかも
憶えてもいない
大余談
その星の名前を知っているか
私はつい半年前に
サングラスの下に瞳が存在すると知り
つい前日に初めて白塗りで無くても
サングラスを外すことがあると知り
ついさっき
半袖も着ると知り
サンダルも履くと知り
意外と機敏だと知った
この短期間にあまりに事件が起こり過ぎて
整理が付かないだけなのかも知れない
老若男女
旧知も新知も
生者も亡者も集うあの場で
志田以上に何も知らない人間が居る前で
サングラスを外したということに意味があるのだろうか
選ばれしローランを前に何故そうしないのか、と
ちょっと拗ねたのかも知れない
今はもう思い出せない
サングラスの下の瞳を
眉の形を知ったとき
知らない と思った
そして 逃げ出したい と思った
珍しいモノは見ておくべきだ
それを代償も無く献身もなく手に入るなら
手に入れておくべきだと
おこぼれを頂戴すべきだと
確かな手つきで双眼鏡を覗いた私は
彼の自己開示を受け止めようとか
この行動に至る彼の心情を推し量ろうとか
二十数年、、、それ以上の年月に思いを馳せようとか
全くそんなことを考えもしなかった
双眼鏡を覗いたとき
苛まれたのは
私の知らないRevoさんを目の当たりにした
0が1になった
投身の恐怖だと思っていた
今思えば
彼の「知ってる」を知らないと思いながら
「知らない」に固執していた私が
浅ましい好奇心で「知ろうとしている」ことに気付いた
主義だ摂理だと喚き
「知りたくない、知るのは怖い」と
彼の自己開示とその信頼に対する
私の責任を今まで放棄してき私が
彼の自己開示を受け止める腕も
それに至る彼の心情を推し量る術も
彼の二十数年、それ以上の年月を
知り得るに値する資格も
持っていない事に気付いた
きっとこの瞬間は
彼のことを知っていて
彼が知っている誰かと
志田の知らない何かを確かめ合っていて
神聖なるこの瞬間に
私が立ち会って良い訳がないと
逃げ出したかった
ローランを抱きしめるその腕で
なぜ、私までも抱きしめようとするのだ
間に挟むな私を
この男にピアアリーナmmを
ぐるっと抱きしめるだけの
肩幅があったとしても
私が彼を知らないから
知ろうとしないから
知るのが恐ろしいから
彼の「知ってる」に私は含まれないと思った
であるのに
彼が「知ってる」と言う場には
私が含まれているのが
耐えられなかった
志田が知り得ても
歴史書の記述を読んで得るような
当事者では無いという感覚が顕在化して
追体験は実体験になることはない故に
私はただ羨ましいのかも知れないし
寂しいのかも知れない
これを読んでくださるあなたは
いつか彼がサングラスを外すと
知っていたのだろうか
サングラスの下の彼を
知っていたのだろうか
何故私があの場に居たのか
受けとめろ と
胸元にドンと突きつけられて
言い訳に肺の空気が全て吐き出されて
この重みを抱えたまま
息を吸えずに居るのだ
志田はこれを書いている今も
あの一瞬に呪いをかけられたように
街角でグラサンを見るたびに
グラタンを焼くたびに
珈琲にグラニュー糖を溶くたび、、、
母校の校庭の横を自転車で通り過ぎるたび
豚肉の重さを量るたびに
今はもう思い出せないあの瞳が
喉を掻くあの言葉が
決して私を逃さないのだ
と書いて
また逃走を試みている
本当は摂理との戦争の最中に
自分で殺してきた知の生存本能に
苦しめられているだけのに
また、崖に縛り付けなければならない
「君のことを教えてよ」は
紛れもない愛と知った
「私のことを知ってほしい」も
きっと愛であるならば
「知ってる」は
この上ない愛だったのだろう
私の「知りたくない」は
一体何なのだろうか
ただ彼を
否定し続けていたのだろうか
知れば知るほど
私に自由なんて無いじゃないか
この愚かで独りよがりな寂しさまでも
同じ名前を許してくれるのだろうか
教えてよ、SAYッッッッ!!!!!!!!
私を攪乱する偉大なる音楽家に
ここまで読んでくださったあなたに
心から感謝を
追記
新鮮だったのはここまでで
これ以降は腐敗している
まずこれを書くのに半年を要したのは
単に己の怠惰が原因である
しかし
時を経たからこそ
志田の中で不溶だったモノが分解されて
精神のウジウジした部分が蛆に食われて
綺麗さっぱり骨になれた気がする
志田はハロパで致命傷を食らい
それでも燃えてやろうと
闇雲に仕事に没頭し
空回りして失速した
小娘が感想文を書ききるより先に
かの偉大なる音楽家はCDをリリースした
CDケースの底に仕舞われた手紙に辿り着く
物語との関連は置いておいて
きっとこれはRevoさんから見た
ローランの姿なのだろう
ああ、ローラン方とRevoさんは
この言葉だけで足りるんだ と
ほっこりする
亜初心者の志田にとって
分からない専門用語や固有名詞が
ちりばめられていて
ちょっと何言っているか
分からない部分もあるし
そんなことがあったんだ、、と
情報を得た部分もあった
Revoさんが猫を飼っている/いた
かもしれないとか、、、、
でもローラン方は
この手紙のなんてこと無い数文字の言葉に
語り尽くせない共通の思い出が
駆け巡るのでしょう
そうして
この手紙の中にローランは
いくつもの小さな 私 を見つけるのでしょう
私にはそれが見つからなかった
どうしても手紙を最後まで読めなかった
考えても仕方がないことを
ウジウジとこねくり回して
この記事を書いた
余りにも自分が湿気ていて
嫌気が差した
つい先週
ふと思い立って
手紙の続きを読んでみることにした
そうして手にしたのは
「初めて手紙を差し上げます」からはじまる
きっと彼女が一番最初に書いた手紙
人生で初めて書いた手紙
その冒頭7行に
小さな私をみつけたのだ
さあ、この煤と膠で筆を執ろうではないか
special thanks
等身大Revoがスカイツリーを襲うTシャツのお兄さん
バニオンのお姉さん
募金助太刀ご夫婦
スリーピーススーツのお兄さん
ふわもこお姉さん
黒装束の皆様
お話ししてくださった紳士淑女の皆様
Trick or Treatしてくださった皆様
☚☚
読んでくださったあなた様

