人生は入れ子人形

イントロ

前口上

ズボリンスキー？！
これだ！！！かの？！？！
有名な板長ギレンスキーだ？！

愉快、、、、、、愉快だあ

口上とナレーションで
ズボリンスキーを重ねてくるところ、、、好き

Ladies and～で
ズボさんのお声が広い空間に響く
こういうちょっとした音響の効果も仕込んでくる

これまた引力の強いイントロだな
ズボさん一人にスポットが照っていたのが
タンっと切っ掛けの一音で
ステージが全灯になる
そこからズボリン劇場の幕が開く


和音は上手へ下手へ、二階席へと
仰々しくお辞儀している
お遊戯会の「気をつけ、礼、なおれ」カデンツの
エクストリームバージョン


リスナーの期待と高揚を煽る

хороший！張り切って参りましょう！

足踏みのステップが踊るリズム
アコーディオンを吹かすロシア民謡のメロディ

脚の筋を延ばす運動？！
絶対ズボ、コサックしてるだろ

赤く揺らめくペチカ

ペチカの火の粉のように
シンバルがパチパチ爆ぜていて良い

間のストリングスやアコーディオンは
火急の知らせのように急かすよう
歌詞と効果的にリンクしている
薪が無かった、馬車の車輪が走る

開けても　開けても　悲しみばかり

マトリョーシカがポンッと開く音がしている

хороший！ボルシチには黒胡椒

やかましい

銀のお注射　きっと良くなるさ

ガーンと落ちてバラバラと崩れていくピアノ
ﾊﾞﾀﾝｯと照明が落とされると
再び男の方にスポットライトが降り注ぐ
マンドリンのトレモロは
帰りたいけれど帰れない郷愁が漂うセピア色をしている
ベースとドラム

ハンケチなど、ご用意くださいませ

ハンケチ、、、、、、ください


美しいコーラスだな、、、
代わる代わる旋律を編んでいくようでずっと聴いていたい

え？

一瞬で三人失ったんだけど

まさに、刹那


ズボ、、、、、あんたは強い人だよ、、、、、、、

悲しみばかり の回想部分ズボさんは歌わない
しみったれた昔話は語らない
陽気で愉快な人なのだろうか

君の魅力にズボリンスキー

陽気なオルガンの下に哀しみを纏って
ベースが渋くなっているこの男


ズボ、あんた奥様が居ながら
女子にうつつを抜かしておったな、、、、、

コーラスが居なくなっちゃった、、、、
え？

え？

コーラスはその場に居る人達だったのか

ずっとお姉さん方にヨイショされてたの？
なにしてんだよ

掘っても掘っても砂ばかり

よしよし、ズボってるな
平坦で動きのない旋律と発掘の進捗

ここに奥様の歌声が華やかに色づいて
特に成果も無く砂だらけで帰ってくるズボさんを
暖かく出迎える姿が見えるよう

拝金野郎？！
ズボが？？？？？？？？

眩く輝く黄金や

ここで、奥様が先頭に立って歌うのがとても良い
良き理解者なんだろうな、、、、

貧しい一家は離ればなれ　私は商家へ丁稚奉公

？！これはズボの何時の話だ

丁稚奉公？！
若くないと商家も丁稚取らない
ズボ少年の話かな、、、、

丁稚ではお給金が出ないから出稼ぎにならないし
自分一人の住むところと、食い扶持があれば良かったのか、、、、

本当に家族皆、離ればなれになってしまったのだな
そこで商魂を叩き込まれて、商売に成功し富豪になったのか

それで拝金野郎で成金野郎なわけだ！！！！

運命は残酷だ　されど彼女を恐れるな
女神が戦わぬ者に　微笑むことなど決して無いのだから

うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
なんだこの格好良さは

お前本当にズボなのか？！
いや、叙事詩が格好良いのか？

奥様が惚れてしまうのも訳ない、、、、

家族を失う
↓
衣食住が保証されている商家で丁稚奉公
職場環境は悪いが生きていくためには、そうするしかない運命だった
↓
家族と形見の叙情詩の一節を胸に頑張る
独立し、事業に成功
↓
夢だった遺跡の発掘を開始
他人や学者が嗤おうとも、奥様は応援してくれた

人生は贈り物　不条理詰めた入れ子人形

そうそう、これがズボリだよな、、、、

ここが格好良いところなんだよな

なんと温かな木管の音色でしょう
好物の並ぶディナーテーブルに灯る蝋燭のようだ

ウッドベースとドラムのリズムは
酸いも甘いもを知ってようやく美味しくなる
辛い蒸留酒のようなジャズ

余韻のあるオーボエは
どんな逆境のあとにも笑いがあったズボさんと
奥様の頬に刻まれた柔らかな微笑みのような
淡いオレンジ色の光に包まれて
大切な叙事詩の表紙のように手によく馴染む



気付けば、スネアのチャッという音が
スコップで砂を掘る音に変わっている

初めて聴くと、ズボがこんな格好良い曲を？と思うけれど

聴けば聴くほどに、ズボは格好いいよ

なんだこの曲の入り方は
繋がってる

えええええ？！？！？！？！
物語が頁ではなく、巻物みたいに移行し、、、、、、、、、、、、、、、

なるほど、ズボるのが好きなロシア人、、、
ズボリンスキー、、、


オフロスキーと同じシステム

呼んだ？

余談

1853年にフランスの医師Charles Pravaz(*1)によって作られた
本格的な皮下注射器が銀製であったと言われている
すぐに硝子製の注射器が開発されて台頭する事を考えれば
銀の注射器を使っていた時代は短いのかも知れない、、、、
きっとその辺りの時代でしょう

当時の最新医療ですから
それを見つけて治療を受けさせた
ズボさんご一家のご苦労は計り知れない
それはそれは高そうですし
家計は燃え上がります


一方で、マトリョーシカの名前は
ロシア語の女性名マトリョーナ(Matryona)の愛称であり
語源がマザー（mother・母）と同じであることから
子孫繁栄の縁起物と言われている

マトリョーシカの起源は意外と浅く
19世紀末にロシア人が箱根の「七福神の入れ子人形」を
ロシアに持ち帰かえったことがはじまりである　という説がある

開けても開けても歓びばかり、、、、、、のはずなのに

1890年頃にはロシアでつくられるようになり
その後、1900年パリ万博（ジャパネスクが流行した時期）で注目を浴び
ロシアの民芸品として知られるようになる

銀のお注射が登場する1850～1860年頃が
少年ズボリンだとすると
1900年初頭は丁度、故郷のナウい名産品をダシに集めた若いお姉さんに武勇伝を語っている中年ズボリと合致するね☆


参考資料
*1:https://viaf.org/ja/viaf/37700175