死せる乙女その手には水月
イントロ
黒雲を背に鐘の音は響き
烏は虚しさに鳴いている
この、重い刃物で切断するような鐘の音は
復讐?
混声のコーラスは審判の時が迫るように
ハープのグリッサンドは
ページが捲られるように
このイントロ、二つ目の表紙みたいだ
残酷な神が
鐘の余響はシンセサイザーのように
温もりのない抽象的なコーラスとなる
黒い雲間に天使の梯子が架かるようでもある
彼女が運命を受け入れたのに
運命がそんな彼女を受け入れるみたいで
天の光が腕を伸ばし
彼女に抱擁するかのようで憎たらしい
なぜこんな時に彼女の三声は
いや、六声は黙しているんだ
おい!なんとか言え
え、、、、、え?
斬られた、、、、、
そして水に落ちる
斬り捨てられた、、、、
やがて芳しく
陽が傾き
水面にキラキラと反射するような午後の旋律
ゆったり、たっぷり時が流れる
アコギが加わり、いよいよ陽は沈んでいく
ソフィア先生、、、、、、
知っていたんですか、、、これが
これが先生の教えなんですか、、、、
貴女はどんな気持ちで
彼女の背中を見送ったんだ、、、、、
訪れたよく似た目の若者?!?!
走れ、エレフ
駆ける足音、荒い息遣い
虫の声にコーラスは夜の旋律
今になって六女神が出てくるか、、、
美しく複雑な重なり
パレットに作った色に
黒を垂らして影の色を作るように
澄んだ和音に後か音を加えて
事の顛末を仄めかす
女神たちが先に悲しんでいる、、、というか
どこか「あぁ、可哀想に」みたいな
あわれみを含んでいる
そこへピアノとハープの音色は
浅瀬に波が押しては返すように
エレフさんが
「そんなはずがない、そんなはずがない」と
自分に言い聞かせるように
細かく同じ旋律をなぞる
そこに張り詰めたハープの高音は
まさに「ピンとくる」ように
いくつか逸脱して
その予感を徐々に強くさせる
そうして、水面に妹の身体を見つけて
確信へと変わる
雷撃と絶叫
Märchenより前からすでに絶叫が上手いんだ、、、、まじなんなんだこの人
これか、、、、冥王で聞こえた絶叫は
冥王様の絶叫じゃなかったわ、、、
背中に感じていた鼓動は
冷たい雨へと変わる
凄まじいな
ピアノとストリングス
重いドラムのリズムは
大きな消しゴムみたいにダイナミックな旋律で
この壮絶な風景から色を奪い
モノクロに塗りつぶすみたいだ
そうして完全に色を失い
無音になる
低音と高音の弦を繰り返す
波間に力無き亡骸が浮き沈みするような
異物感のある不気味な旋律
揺れる瑠璃色
ミーシャさんのお声にエコーがかかる
エレフとの別れに
嘆いているような歌詞であるのに
さっさと自分だけお別れの準備を済ませて
さよならを告げるような
感情に乏しく、達観したようなお声
もう、人間じゃなくなってしまった
一方で、エレフさんもエレフさんで
感情が欠落しているように聞こえる
あまりの悲しみに感情を失っている、というか
なんと言えばいいか
瞳からハイライトを失ったような
そんな歌声
ただ、ミーシャの「さよなら」に
受け入れも、何もできず
エレフの唇が勝手に「さよなら」を模るだけで
その意味を成さず
「うん」と言わざるを得ない無力感というか
「綺麗になったね」とか
「夢が叶ったんだね」とか
妹の結婚式で兄が読む手紙みたいな
少し照れ臭くて、温かくて、誇らしい言葉が
何もかも空回りしている
やっと会えたね 探したんだよ
ミーシャさんはずっとレスボス島にいて
あんまし兄を探してなくないか?
兄の面影は探したかもしれないけれど
実物の兄はあまり探してない
ミーシャさんは再会を信じてやまない兄を
屈服させる程の「さよなら」を用意していた
というか
兄に「うん」と言わせた、、、くらいの
上手く言葉にならないが、、、そんな
圧倒的な力の差がある
ミーシャの「さよなら言ってないもの」は
「ちゃんとお別れができてないもの」で
エレフの「さよなら言ってないだろ」は
「お別れなんてするはずないだろ」だったんだ、、、
ミーシャさんはスーパーエスパー故に
巫女になった、、、というのなら
聖なる詩人の島あたりですでに
生きているうちに兄とは
再会できないことを予感していたから
あれほど悲しんでいたのかもしれない
よく似た星を抱いていても
この背中合わせのギャップに
エレフは気づいていなかったんだ
シュバッ と
花火が打ち上がるように、星となる
擦ったマッチの火のように
淡く儚い光の幼き日の幻想を灯す
うわぁ、、、、、
月夜の水面、、、幼き幸せな記憶
さよならの旋律、、、
水に沈んでいくミーシャさんの耳元に
寄せるその水音に幼き日の水遊びを重ねて
走馬灯のフィルムがシームレスに繋がる
夜の旋律に昼の回想はこういうことだったのか
運命の双子の冒頭ですでに
このお別れを示唆してたんだ、、、、、、
怖いほど美しすぎるなぁ

